(ふれあいねっと 2002年4月号掲載 高田かおり:潟_イエー総務室消費者サービス部))

 2002年度ダイエー入社予定者を対象に、今年度より「地球環境・社員貢献セミナー」を開催することになりました。このセミナーは、入社予定者の自主参加であることから、議論よりも体験学習を中心にしたプログラムを考えました。特に高齢化問題については、参加者全員が学生であることから、日常生活の中で「老い」を認識することも、経験することもまずありえません。そのため、ダイエーの社員教育としては初めて「うらしま太郎」を取り入れることにしました。

 当初、九州、近畿、関東の3エリアで計60名程度の参加を想定していたところ、その2倍の127名(全体の32.6%)の参加申し込みがあり、うれしさの反面、他のプログラムの関係上、「うらしま太郎」の1人あたりの体験時間を短くせざるをえなくなり、体験内容も買物行動に絞り込んで行いました。
 
 具体的な体験内容は次のようになります。
@カート置き場からショッピングカートを取りだす。
A売り場をカートを押しながら歩く
B商品棚から商品を選び、内容や価格の確認を行う
Cレジで財布からお金を取りだして精算する
Dレジ袋に商品を詰め、片手で持って歩く
 
 参加者全員が体験した後、グループに分かれてどのような点が不自由であったのか、今後高齢者に対し、どのような視点で対応したらよいかを討議し、発表してもらいました。「高齢者にとって買物がこんなに苦痛を伴うものとは思わなかった」というのが全員の一致した感想でしたが、代表的な意見は次の3点でした。
 @お財布からお金を取りだすことや金銭トレーから釣り銭を取り、お財布にしまうことがこんなに大変だとは思わなかった。今まで、レジに高齢者がいると精算が遅く、イライラすることがあったが、これからは高齢者の気持ちになって温かく見守りたいと思う。
 A商品を選択するとき、価格が見えにくく、色の識別もできず非常に困った。高齢者がお買物を楽しんでもらえるよう、積極的にお手伝いしたい。
 B音の聞こえにくさから、不安感と孤独感を感じた。高齢者の孤独感が少しでも薄れるように、ゆっくりと大きな声で積極的に話しかけを行いたい。

 今回の体験は、普段ほとんど「老い」を意識することのない学生だけに、年をとることことによる身体能力の低下や心理面の変化に対する驚きが強かったようです。それゆえに、ほぼ全員が「うらしま太郎」体験が非常によかったと評価し、入社後、高齢者に対する接客に役立てたいと答えていました。
 今回の結果をふまえ、今後は既存の社員研修にも取り入れ、現場における高齢者に対する接客の向上につなげていきたいと考えます。


ダイエー岩見沢店での社員研修風景