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2025 年 12 月 4 日(木)

シンガポール社会科学大学(SUSS)学生向け教育実習受け入れレポート

公益社団法人長寿社会文化協会は、12月2日に東海大学品川キャンパスで、シンガポール社会科学大学(SUSS)の学生約30名と、東海大学国際学部の学生を対象とした合同研修を実施しました。

 

シンガポールの学生たちが日本の「介護保険制度」や「高齢社会」の実態を深く学ぶ、貴重な一日となりました。

 

研修は、日本の介護保険制度の歴史と現状に焦点を当てた、浅川澄一氏の講演「家族介護から『介護の社会化』へ 26年目を迎えた介護保険」からスタートしました。

 

浅川氏は、26年目を迎える介護保険制度が歩んできた道のりを、以下の3つの柱で解説しました。

 

 

① 企業を活用し介護サービスを広げた

② 自宅で暮らし続ける 「地域包括ケア」

③ だが、今や施設(集合住宅)が必須に

 

 

浅川氏は、深刻化する社会構造の変化と財源の逼迫や、危機的な「担い手不足」にも触れ、日本の介護制度の根幹にある考え方と、それに伴う現実的な課題について話し、学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。

 

 

講演する浅川澄一氏

 

 

日本の介護保険制度は、発足当初は「素晴らしい」と評価され、家族介護を社会全体で支える仕組みを確立しました。しかし、現在は「少子高齢化」と「経済力の低下」により、制度を維持するための財源と人材を確保し続けることが極めて困難な状況にあります。

 

現在の介護保険制度は、次のステージへと進化するための大きな転換期を迎えているということが分かる講演でした。

 

 

続いて、ケアマネージャーの濵洋子氏より、「介護保険におけるケアマネジャーの役割」と題した講演が行われました。

 

学生たちは、講演内容を深く理解するため、UDトークというアプリを活用しました。このアプリによる同時通訳によって、専門的な内容もリアルタイムで把握することができ、言語の壁を感じさせない学びの場となりました。

 

ケアマネジャーという専門職の重要性と、利用者一人ひとりの生活を支えるための役割について、理解を深めることができました。

 

 

ケアマネージャーの濵洋子氏

 

最後のプログラムは、「高齢者疑似体験」でした。学生全員が疑似体験をすることができ、高齢者の身体的な制約を実感しました。

この体験において、SUSSの学生たちは非常に主体的に取り組み、楽しみながらも学びを深めている様子が印象的でした。

 

装着のデモンストレーション
本を取り出して読んでみましたが難しい!

 

わずかな段差や、細かい作業の難しさなど、普段意識しない視点から高齢者の生活を「体験」することで、知識としてではなく、共感を伴う理解へと繋がったことでしょう。

 


 

今回来日したSUSSは、シンガポール教育省の管轄下に置かれ、国際的な教育環境と高い学術水準を提供している大学です。

 

シンガポールには、シンガポール国立大学を含む4つの大学があり、これらの大学が教育制度において重要な役割を担っています。

 

シンガポールは都市国家であるため、教育行政全般を教育省が一元的に管理・管轄しており、大学も教育省の管轄下に置かれる公的法定機関として設立されているのです。

 

SUSSの学生たちが、日本の進んだ高齢社会と向き合い、自国で急速に進んでいる高齢化社会への対応を考える機会となったことでしょう。

 

今回の研修は、日星両国の学生にとって、超高齢社会における「共生」のあり方を考える、大変有意義な国際交流の場となりました。

 

今後のさらなる交流と、学生たちの活躍に期待しています。

 

みんなで記念撮影
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