事業報告
認知症の人に食事させる家族研修モデル事業
独立行政法人 福祉医療機構 長寿社会福祉基金の助成を受け、「実物大料理カード」を活用し、認知症の人に食事をさせる家族研修モデル事業を平成19年から21年までの3年間実施してきた。
事業の目的は、高齢者むけ「実物大料理カード」を活用して、認知症の人の過食・拒食・異食を改善したり予防したりするもので、
1年目、実物大料理カードの開発を実施。(当ホームページで閲覧、ダウンロード可能)
2年目、実物大料理カードの使い方を指導する指導者養成講座の開催。
3年目、実物大料理カードの効果測定を実施した。
効果測定は、東京の「グループホーム千住さくら」と山形県酒田市の「グループホームひより」の利用者を対象に実施した。食事は毎日3回食べるものなので認知症の人も関心が深く、カードをお見せすると強度の反応があり、普段無口な方も、食事にまつわることから、個人史が語られ、ケアワーカーが知らなかったことをたくさん聞き出せた。(報告書には発言記録も掲載)あらためて食事の大切さが見直され、日頃の対応の仕方を再検討する契機となった。また、実物大料理カードでコミュニケーションがよくなった利用者は、いつも入浴拒否をしていたにもかかわらず、スムーズに入浴して下さるようになった事例もあった。
さらに、介護は女性の仕事と思われがちであったが、発語の深さや質を検討すると、ジェンダーに関係ないことがわかった。ケアワーカーの熱意が、利用者の発語の質や深さに関わるのである。
報告書の発語記録を読むと利用者とケアワーカーの関わりが如実に現れて興味深く、自分の曰頃の対応を顧みるきっかけにもできる。報告書は希望者に送料500円で郵送しますのでお申し込み願います。