工藤雅徳 久光製薬株式会社医薬企画部企画課

 久光製薬では、『誰にでも使いやすい商品とはどういったものか?』といった問題に永年取り組んできましたが、2004年2月社員教育の一環として医療機関に訪問する医薬事業部MR(医薬情報担当者:医療機関を訪問し医薬品情報を提供する者)全員を対象に『高齢者疑似体験研修』を実施しました。

 『高齢者はどういった時に不便さを感じるのか?』を疑似体験することにより、『誰にでも使いやすい商品とはどういったものか?』をMRが考えるきっかけを与え、普段研究開発部門が主役の『商品開発』に対し、よりお客様に近い立場のMRからアイデアを引き出す事が目的でした。

実施した体験内容は……
 ●飲み物をコップに注ぐ→飲む
 ●階段の昇り降り
 ●申請書類などへ必要事項を記入
 ●シップ剤を患部に貼る
 ●お金を財布から取り出して支払いをする
などを行いました。

 特に、『シップ剤を患部に貼る。』項目は全員が体験し、『自社商品の改善すべき点』について数多くのアイデアが出てきました。

 また、若手MRからは、『想像以上にいろいろな行動が出来ずイライラした。』『高齢者を見ていて、何故こんなことが出来ないのか?と思っていたが、その理由が分かった。』といった知識と実体験とのギャップによる驚きの反応や、『高齢者の立場に立って物事を考えられるようになりたい。』『自分が手助けできることは進んでやりたい。』といった高齢者に対する接し方を自ら改善しようとする感想が数多く寄せられました。

 この研修を通じて、高齢者のみならず全ての人が使いやすい商品を開発・改良し、お客様へお届けする事の意味を再認識するとともに、『医薬品産業の一員』として、また『医療の一端を担う者』として、自分達に与えられた社会的使命の大きさを感じることができた研修となりました。

 ◆ 久光製薬での体験風景 ◆